
コストパフォーマンスが高く、
金属素材を知るということ
機械設計を行う上で材料選択は重要な項目の一つであり、その機械要素の要求する仕様や機能を満足させるような材料の様々な特性を考慮しなければなりません。 一般に金属とは結晶性をもっているため、素材が破断せずに柔軟に変形し(展延性に優れる)、電気や熱を伝えやすい等の特徴を有しています。
ステンレス材(303,304,316,420J2,440C)
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よく似た性質を持つSUS304とSUS303ですが、使い方や加工の仕方によって向き不向き、できあがりの際のコストが大幅に変わります。
加工コストが合わない、部品がすぐに腐食するなどの問題がある場合は、ぜひ素材から検討してみてください。
ステンレス材(SUS303)
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一般的な鋼材SUS304と比べ耐食性、溶接性は劣るものの、切削性に優れています。従って、深い穴や溝、ポケットなど切削しにくい部分が
多くあるような加工品の場合は、SUS303の使用をおすすめしております。
材料代はSUS303の方が若干高い場合が多いですが、切削加工の場合はまずSUS303が使えないか検討しても良いと思います。
ステンレス材(SUS304)
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耐食性に非常に優れているため、錆が問題になる環境で使用される材料としてまず候補に上がります。鉄と同じぐらいの比重や鉄に近い機械的
性質を持つので、鉄に取って代わる場面が非常に多くなっています。また、溶接も比較的しやすく、鉄とそれほど遜色なく溶接することができます。
ただし、鉄と比べると粘り気があり、削った面が硬くなる加工硬化という現象を起こすため、切削にはあまり向いていません。
ステンレス材(SUS316)
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SUS304にニッケルとクロムを多めに入れて腐食性を高めたものがSUS316です。特に応力腐食割れや粒界腐食に対して有効な材料です。
高耐食性ステンレスはC量が低くNi量が多いので、焼鈍状態の硬度が低く、加工硬化が少ないので、絞り用途としても向いています。超高速艇の プロペラや水面レベル機器の電極棒の耐食性が必用な時に多く使用されています。
ステンレス材(SUS420J2)
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ステンレス材の中でも焼入れができるという点が最大の特徴です。炭素の含有量が多く、焼入れを行なって頂くことで非常に高い強度を得ることが
でき、焼き戻しの調節により幅広い機械的特性を与えることが可能です。従って、高い耐熱性や加工硬化を得ることができ、様々な分野に利用され
ています。
ただしその反面、炭素の割合が高く錆が出やすいために鉄寄りで、ステンレス鋼の中では最も錆びやすいという欠点はあります。
ステンレス材(SUS440C)
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マルテンサイト系ステンレスで、熱処理(焼入・焼もどし)により、高強度、高硬度を得られます。ステンレス鋼の中では最も高硬度を有する鋼です。
耐食性は一般の焼入鋼よりは優秀ですが、オーステナイト系ステンレス、フェライト系ステンレスおよび析出硬化系ステンレスよりは炭素(C)含有量が
高いため劣ります。
鋼材(SS~SKS)/SS材:一般構造用圧延鋼
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リムド鋼(気泡が残っている)、 安く大量にできる材料です。引っ張り強さだけ保障されており成分に規定はありません。 熱処理をしません。
鋼材(SS~SKS)/SM材:溶接構造用圧延鋼
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キルド鋼(気泡は残っていない)船舶に用いる鋼材の溶接性を高める目的で開発された鉄鋼材料で、MはMarineの頭文字からきています。中・低温用の鋼板で、
化学成分はSS材とよく似ています。低温側は-10℃、高温側の使用限界温度は350℃です。形状は鋼板、鋼帯、形鋼、平鋼があります。
鋼材(SS~SKS)/鋼材S-C材:機械構造用炭素鋼
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キルド鋼(気泡は残っていない) C%のみによって硬くなる。0.6%以上になると硬さは変わらずSK材と呼ばれています。
鋼材(SS~SKS)/SCM材:クロムモリブデン鋼
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焼き入れ性を保証した構造用鋼材。 焼きが深く入るのが焼き入れ性。
鋼材(SS~SKS)/SK材:炭素工具鋼
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S-C材でCが0.6%以上のもの、耐摩耗性がある鋼材。熱に弱い、さびやすい、衝撃に弱い、安価。
鋼材(SS~SKS)/SKS材:合金工具鋼
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炭素工具鋼にタングステン、モリブデン、クロム、シリコン、バナジウム、ニッケルを加えて、耐衝撃、耐摩耗を向上させたものです。
鋼材(SS~SKS)/SKD材:ダイス鋼
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焼き入れ温度が1000度、真空焼き入れが行われる。焼き入れによる変形が少ないためゲージ、ダイスに適しています。
アルミニウム(A5052,A2017,A7075)/A5052:5000番系【AL-Mg系合金】
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耐食性と強度をアップさせた合金で、中程度の強度があり、耐食性・溶接性が良く、加工性も良い為アルミニウムの切削材料としては最も一般的な
工作に一番向いている板材料です。A5052は板厚素材の精度が比較的良いので、厚みに公差が無ければ通常そのまま4面仕上げで使用できます。
(2000番系、6000番系、7000番系の板厚素材公差については注意が必要です。)